前回記事
夢のような時間だった。
我が家は決して裕福な家庭ではなかったが、
年に1度は両親が家族みんなでテーマパークに遊びに連れて行ってくれた。
その年は私が小学校6年の時。
「中学に入ったら部活や勉強で忙しくなるだろうし、
家族揃って遊ぶなんてことはなかなかできなくなるだろう。」
そう言った父は、テーマパークへ連れて行くだけでなく、
隣接している高級ホテル、高級ディナーの予約を取ってくれていた。
見たことない広さのホテル、食べたことのない料理、
ディナーショーでタップダンスを披露するフランスの芸者さん。
初めての体験に興奮気味だった私は、妹と「なんか楽しすぎて寝たくないね」と夜更かしをしていた。
そんな某テーマパークでのこと、母がパーク内を回るパレードに参加できる券を用意してくれていた。
私と妹は、パークのスタッフに専用の衣装を着せてもらい、
大きなゴンドラに乗ってパレードに参加した。
ちょっと恥ずかしかったが、もう一生見ることのない景色を見れた感動はとてつもなく、
結局、ゴンドラの上で妹と大はしゃぎしていた。
体の右側が不自由であるため、当時は車椅子に乗っていた妹だったが、
その時ばかりは立ち上がって満面の笑みだったのを、今でも鮮明に覚えている。
❖ 左手で旅するエオルゼア 第2話
新生編最初のID3種、サスタシャ、タムタラ、カッパーベルを無事に踏破した妹。
続々と各地のエーテライトと交感しながら、メインストーリーを進めています。
アマルジャ族との戦闘も難なくクリア。
大分慣れてきた様子。
NPCと話すのも、結構上手くできています。
この日は、ストロ君が一日手伝ってくれて、みんなでSSを取りながら回っていました。
が、絶賛メインをすすめている東ザナラーンは生憎の土砂降り。
「濡れる濡れる~!」と言いながら走り回る妹を横目に、
私とストロ君は後ろからピクミンのようについて行っておりました。
そんな時、ふわっと雲が途切れ日差しが差し込む。
「あ、もうET8時かぁ。エオルゼアはね、0時と8時と16時に…」
と天気うんちくを語りだした瞬間、目の前には虹が。
「急いで撮りましょう!!」とストロ君に急かされながら慌ててグループポーズを起動。
グループポーズ中も虹は消えていくのね!!!
構図を決めている間にみるみる薄くなっていく虹。
だけどこれもまた、その瞬間でしか見れない儚さと美しさがあって良いものです。
❖ 初めての討滅戦。
そうこうしているうちに、イフリート討滅戦を解放。
ふぃーさん、ストロ君が手伝ってくれました。
昔から要領がよくて勘がいい妹ですが、
楔もでてきたら真っ先に壊しており、何の説明をすることもなくあっさりクリア。
いや、それはそれでどうなの…
先輩ヒカセンのわかばがペロるところを見たい欲が収まりませんが、
そんな私達には見向きもせず、サクサクとメインを進めていく妹はまったく逞しいものです。
❖ 砂の家に戻る、それだけのことが。
「あ!よかったら乗っていきませんか?」
そう言って、ストロ君がチョコボキャリッジを出してくれました。
これはありがたい、早速二人でキャリッジに乗り込むと、
「せっかくなんで飛ばずにゆっくり行きますね。周りの景色とか楽しんでください。」
と言いながらゆっくりキャリッジが動き出しました。
「そういえば昔二人でパレードのゴンドラ乗ったなあ。こんな感じだった。」
「あったねえ!懐かしい~!あれは楽しかったなあ~!」
「あの日も夜更かししたなあ。」
「ねー。楽しいからやめ時が分からんのよw」
昔話に花を咲かせ、妹とする夜更かしは思えばあの日以来かもしれません。
ホライズンから砂の家までの移動が、こんなにも色濃く楽しい時間になるのかと、
FF14の可能性はまだまだ計り知れない、そう感じた一日でした。
無事に報告を終えた妹は、今日も砂時計亭で床に就くのでありました。
つづく。